風はいつも私たちに何かを伝えようとしている。そんな気がする。
時にやさしく撫でるように、時に強く襲いかかるように・・・・・
風の色って何色?
こどもの頃キラキラと光る風を見た。今でもはっきりと覚えている。
暖かい春の日差しの中、その風は美しく輝く海の方からやってきて、小高い小さな草原にいる私の頬をそっとくすぐり、山の方へ向かっていった。とてもよい香りと共に。
草原の草花も、山の木々も、風と戯れ心地よい音を奏でていた。
風の去った後はすべてのものがキラキラしていた。
まさにそれは春の生命の息吹の風であった。
その風の色、香り、感触は今でも忘れない。
明日はどんな風が吹くだろうか?それは一体どんな色だろう?
![]() | ポカホンタス ラッセル・ミーンズ、メル・ギブソン 他 (2004/07/09) ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント この商品の詳細を見る |
いつも不幸な人がいる。そしていつも幸せな人がいる。
休日の地下鉄はいつもと様子が違う。
スーツを来たサラリーマンたちで埋め尽くされていない車内は何だかのんびりとしている。
私は娘と二人で新宿へ向かう途中であった。
娘がお店に注文していた商品が入荷したということでそれを受け取りに・・・妻に後押しされたのだ。
私はこのところ何をやってもうまく行かずムシャクシャしていた。娘はそんな私を気遣う年頃になっていた。
車内はカップル、家族連れで賑わっていた。皆楽しそうに会話している。黙って座って地下鉄の何も見えない暗い窓を眺めているのは私と娘だけである。
私は目を閉じ娘のことを考えてみた。
娘はとても良い子に育ったものである。人から見るとほんの些細なことでも楽しめる子だった。工夫したり想像したり、見る角度を変えたりしながら・・・物事の本質を捉えようとしていたのかもしれない。
幸せか不幸せかなんて自分で決めることだな。きっと不幸せと思うことが不幸せなのだろう。
「新宿に着いたらうなぎでも食うか?」
「やったー!」と娘。
案外身の回りは幸せで満ち溢れているのかもしれない。
![]() | レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語スペシャル・エディション ジム・キャリー (2005/09/16) 角川エンタテインメント この商品の詳細を見る |
人間の人生が無数の選択で構成されていると考えるとしよう。
私は今までそのひとつひとつの選択を慎重に行ってきただろうか?
これから訪れる選択の数々を慎重にこなしていけるだろうか?
毎朝、目が覚めた瞬間から・・・
どの下着にしようか?
どのネクタイにしようか?
パンにするかご飯にするか?
傘を持っていくか?
・・・・・・・・・・
と選択が始まる。
この日常の些細な選択が自分の人生を決めていくとしたら・・・
「飲み物はお決まりでしょうか?」
カウンター越しに若く美しい女性バーテンダーがたずねる。
やれやれ バーボンにしようか?それともビールにしようか?
「何を選択すればいいと思う?」
「じっくり考えていいわよ。」
そもそも一体なぜこのバーに立ち寄ったのだろう。真っ直ぐ帰るべきだったのかもしれない。
| デッドコースター/ファイナル・デスティネーション2 A・J・クック (2003/11/28) エスピーオー この商品の詳細を見る |
その帽子屋の主人は言った。
「私は30年間帽子を売り続けている。帽子を見ればその人はどんな人生を歩んできたのか分かるのだ」
偶然ショーウィンドウの帽子が目にとまり、眺めていた時だった。この暑いのに・・・
果たして帽子だけで生計を立てられるものなのか?
確かにこれほどの種類の帽子を見たのは初めてである。こんなに種類が必要なものなのかとさえ思うほどである。
主人は続けて言った。
「帽子はその人の生き様を表すものだ。あんたも一人前になったらきっと帽子のことが分かるよ」
帽子専門店は数少ない。でもこのような専門店を必要としている人も確かにいるのだろう。それは私にも分かる。だが・・・
壁、棚一面に飾られた帽子、かなりの年季が入っているようである。もしかしてもう何十年もそこに掛かっているのかもしれない。
側にあったパナマハットを手にとって見た。そして被ってみた。なるほど素晴らしい被り心地である。
「これ、頂戴」
店の主人はにんまりしている。「被っていくかい?」
私は黙ってうなずいた。
店を出て私は思った。
なるほど。何だか自信に満ち溢れてきた。帽子ひとつで生き方は変わるのかもしれない。
その後、ビジネスは成功し私はその町を離れた。数年後偶然その町を通りかかった際その帽子屋の前を通りかかった。しかしそこにはもう帽子屋はなかった。
それに代わって安さを売りにしたカジュアルウェアの量販店があった。
私はパナマハットを目深に被り足早にその場を去った。
![]() | ユー・ガット・メール メグ・ライアン (2003/12/06) ワーナー・ホーム・ビデオ この商品の詳細を見る |
Author:ひまじん